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IZAKAYA555

【タイ発】IZAKAYA555、日本人は全く意識しない。センターはあくまでもローカル

株式会社ボラーチョの社長川西雄一郎さん40歳
パッと見日本人経営とは思えないファサード
スタッフ全員が並んで営業前の「朝礼」は日系飲食の定番?
酒樽、提灯、富士山、雷神風神...タイ人がイメージしやすい「日本風」な内装
日本語の看板も「日本風」な内装のアクセントに
日本で展開する各業態の看板メニューで勝負...肉汁餃子
日本で展開する各業態の看板メニューで勝負...せせりのスパイス焼き
日本で展開する各業態の看板メニューで勝負...豚チーズのトンペイ焼き
日本で展開する各業態の看板メニューで勝負...よだれ鶏

世界中で日本食レストランの出店数が急増している。その動きはアジア地区で特に顕著で、農林水産省の調査によれば、2015年から2017年の間にアジア地区の日本食レストランの数は、45,300店から69,300店へ5割以上の伸びを見せている。しかし、タイのバンコクのような世界一の日本食激戦区では、熾烈な競争の中、一部で淘汰が始まり新規出店より退店のほうが多い業態も出てきたほどだ。

このような市場環境の中にありながら、相変わらず日本からタイへ新規出店を模索する動きは後を絶たない。新規出店を考える日本の外食企業の多くは、バンコク中心部の日本人が多く住むエリアを候補地に選ぶことがほとんど。もちろん、在住日本人にくらべ圧倒的な人口を擁するタイ人マーケットを狙ったほうが遥かに大きなビジネスチャンスがあることはわかってても、1号店は日本食に慣れ親しんだ日本人マーケットを狙おうとする思考パターンから抜け出せないケースが目立つ。

多くの進出企業が安全策を選ぼうとする中、日本人は全く意識しないと言い切る飲食オーナーがバンコクの中心部からやや外れたエリアのプラカノンに居酒屋をオープンした。その居酒屋の名前は「IZAKAYA 555」。555の意味は、タイ語で数字の5を「ハー」と発音する。5が3つ並んだ555を「ハーハーハー」と発音し、タイ語の笑い声の擬音語「ハーハーハー」と同じ発音になるため、タイ人はSNSで「笑う」という意味で555と表記する。日本人が(笑)とかwwwと表記するのと同じ。多くの在住日本人は、最初にこの店舗名を見た時、タイ人経営の日本食店にありがちな、なんちゃって居酒屋と思ったんじゃないだろうか。

このお店を経営するのはれっきとした日本人。香川県の高松で居酒屋を展開する株式会社ボラーチョの社長川西雄一郎さん41歳。このたび、タイに現地法人BORRACO (THAILAND) CO., LTD. を立ち上げ、海外1号店をオープンした。川西さんは東京の専門学校を出て、故郷の高松に帰り、2008年に起業。様々な業態の飲食店を出店し、現在では、居酒屋「カワニシブロイラー」「サンダー酒場」など4店鋪を高松に出店している。

さっそく、毎日店舗営業の現場に立っている川西さんに会いに行った。お店に行ったのはオープン時間17時直前。出勤しているスタッフ全員がフロアに整列し「朝礼」をしているタイミングだった。タイの日系飲食店ではよく見かける「朝礼」風景。居酒屋に限らず定食屋、ラーメン店でも日本人オーナー、日系飲食店では営業前に「朝礼」を実施しているお店が多い。

川西さんはこのお店のコンセプトをどう考えているのか聞いてみたところ、「タイ人の中間層が月に2-3回食べに来れるであろうお店をイメージしました。一言で言うと「剣心」(※)みたいな客層です。日本人のことは全く意識してないです。日本人のお客さまについては、不味くなかったら来るだろうというレベルくらいにしか考えてません。センターはローカルのお客さまです。結果的に6割くらいがタイ人のお客さまになってます。あとの4割は欧米系、中国人、日本人など日によって様々な方が来られます」との答えが返ってきた。

※.「剣心」とは、バンコクのスクムビットエリアのアソークとプロンポンに2店鋪を展開するタイ人経営の居酒屋。タイ人の間で大人気の繁盛店。客層はタイ人がほとんどで日本人の割合は低い。内装は大漁旗を大きく掲げたり、桜の造花を飾ったり、「日本風」を全面的に押し出している。居酒屋「剣心」Facebookページ→Kenshin Izakaya ร้านอาหารญี่ปุ่น เคนชิน อิซากายะ

川西さんが香川県の高松で起業したのは2008年。最初は地中海料理業態の「タンジェ」を開業したが、その3年後の2011年に当時流行していた浜焼き業態の居酒屋「磯一」をオープン。つぎに、2015年、低価格帯のやきとり店居酒屋「カワニシブロイラー」を展開する。さらにその翌年の2016年、自らネオ大衆酒場と位置づけるコンセプトの大衆酒場「サンダー酒場」へとさまざまな業態へ挑戦した。この多業態展開の理由について、「高松は小さな町なのでマルチコンセプトしないと難しいんです。当時、東京に頻繁に行ってました。いいと思ったお店を参考に、高松での客単価を考えながら、このお店のこのメニューとあのお店のあのメニューを混ぜて、ここいじったらイケるんじゃないかと。パクリ経営と言えばパクリなんですけど」と話す。

要するに、商圏が小さく、客単価も低く抑えなければならない高松で他店舗展開するにはどうしたらいいのか。既存店、競合店と差別化するにはどうしたらいいのか。という課題に対する川西さんの答えが「マルチコンセプト」、すなわち多店舗=多業態展開であり、必然から生まれたドミナント戦略だった。パクリと言う言葉にはいいイメージはないが、商品開発、業態開発のとしてしごく一般的な手法と言える。最近見られる外食大手チェーンが他のチェーン店を丸ごと真似るやり方とはわけが違う。

このような高松での経験がタイへの出店でも生かされている。タイ1号店である「IZAKAYA 555」でのコンセプトづくりでは、ターゲット設定したタイ人中間層に大人気の繁盛店を徹底的に研究し、ターゲットに対して訴求効果のありそうな内装で誘客。さらに、タイ人経営の店では一朝一夕で真似できないようなメニュー。すなわち、日本で培ったさまざまな業態の看板メニューを絞り込んで提供する。日本の高松というある意味、厳しい市場環境で不断の努力をしてきた結果がタイでの展開にも活かされている。

今後の展開について、川西さんは「これから時間を作って探していきますが、ショッピングモールやタウンハウスなどピンときた物件があったら出店したいですね。出店先によって業態を練り直すことは高松で何度も経験してきていることなので苦になりません。看板商品がありますからこれを磨いていけたらと思っています。」と自信をにじませた。

外食産業が日本から進出してくる際によく耳にする言葉は、「日本の味をそのままに」「日本と変わらぬ品質で」など。我々在住日本人はこの言葉に魅力を感じ、大きな期待を寄せることが多い。ローカルのマーケットに対してもセールスコピーとしてはいい響きかもしれない。いい意味でのプロダクトアウトの発想。しかし、ローカルのマーケットで拡大戦略を想定するならマーケットインの発想も必要となる。川西さんの話しを聞きながら、プロダクトアウトとマーケットイン、両方の発想を常にイメージしながら展開を考えていくことが重要なのだと感じた。

(取材=まえだ ひろゆき)

店舗データ

店名 IZAKAYA555
住所 1102/7 Sukhumvit Rd, Khwaeng Phra Khanong, Khet Khlong Toei, Bangkok 10110
電話 02-392-3525
営業時間 17:00 – 0:00
定休日 なし
坪数客数 110平米 74席(1階56席、2階18席)
客単価 650B
運営会社 BORRACO (THAILAND) CO., LTD.
オープン日 2018年3月19日
関連リンク IZAKAYA555 Facebookページ
関連リンク IZAKAYA555 Instagramページ

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