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インタビュー

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【タイ発】三原豆腐店オーナー 三原廣樹 〜タイ側パートナーであるミシュランシェフの個性とタイという国に戸惑いながらも豆腐をキーワードに新境地を切り開く〜

このところバンコクの寿司店では"おまかせメニュー"をウリにするお店が人気のようだ。少し前までは、フュージョン系の、和牛やらフォアグラやらサーモンやらの握りに甘ったるいタレを掛けて食べさせるような日本人には馴染みにくいメニューが人気だったが、正統派江戸前寿司が急増している。ネットで「バンコクxOMAKASE」を検索すると、5,000B(17,000円)前後のおまかせメニューがメインのお店やグルメサイトの特集が次々とヒットする。
好きな料理だけををアラカルトで好きなだけ注文するというタイ人の嗜好が変わったわけではなく、日本への観光客の急増で、美味しい寿司屋はおまかせで食べるものというスタイルを学習した結果だと考えられる。
この傾向は、バンコクの日本食店の他の業態にも波及するのではないか。懐石コースの日本食店にタイ人が殺到するのではないか。と考えていた矢先、今年の3月末にオープンしたコースメニューのみの豆腐専門店が一ヶ月先まで予約が取れない人気店になっている、しかもタイ側のパートナーがあのバンコク版ミシュランで二つ星を獲得したガガンのオーナーシェフだと聞き、バンコクに海外1号店を出店した三原豆腐店オーナーの三原廣樹さんにインタビューを試みた。


三原豆腐店

ータイ進出のキッカケについてお聞かせください。

三原廣樹さん(以下三原):2017年の春頃、ガガンさんが福岡のお店に来られて、タイへの出店の話が持ち上がりました。最初の2、3回は冗談かと思っていましたが、ホントに出店するとなり一歩踏み込んだ話になると、そこからはトントン拍子に話が進みました。話が早かったですね。
一号店を出したこの物件も、ガガンさんが選んできた物件で、狙ってこのような表通りから入って奥まった場所を選んだようです。西中洲のお店のイメージがこの場所だったようで、あえて住宅街にあるタウンハウスを選んだみたいです。ガガンさんの話がなかったらタイにお店を出すなんていう発想はなかったですね。正直いうとパリとかそういう方面に憧れがありますね。

ー実際にお店をオープンしてからのお客さんの反応はどうでしょうか。

三原:豆腐屋を名乗っているだけあって、タイ人の方でもお豆腐を好きな方が来られてます。お豆腐に関しては評価してくださってますね。タイ人の方に特徴的なのは、鍋を火の付いた熱々の状態でご提供しても火が消えるまで待って召しあがるのが特徵ですね。提供する際の温度帯も特に気にしているので、ガガンさん側との打合せでも強調するんですが、あまり気にしていないようなので不思議に思っていました。

三原豆腐店

ー順調な滑り出しだったようですが、困ったことなどありますか。

三原:内装は福岡でお世話になっている上野建築事務所さんにデザインから設計までお願いしてますが、施工は現地の施工会社にお願いしています。これらはガガンさんの知り合いの方にお願いしました。厨房もそうです。実際の施工に際してはかなりのカルチャーショックでしたね。ホントは今年の1月くらいにはオープンの予定だったのですが、工事が3ヶ月遅れましたからね。最後の方は工事をしながらのオープンでした。日本では考えられないことでしたが、それでも店を開けました。
その後もいろいろと問題はありました。オープン直後から雨漏りがして、全部で数十箇所。床のフローリングなんかも盛り上がっちゃってったりして、全部やり直しでした。カウンターなんかも反り上がって割れたりしてます。

ーお客さんの傾向にはどのような感じでしょうか。

三原:いまタイ人のお客さんが7-8割くらいですね。当初の設定金額が高めなので比較的お金持ちののタイ人が多いようです。来ていただくほとんどのタイ人が運転手付きの車で来店されます。自分で運転される方も車がランボルギーニなどのスポーツカーだったり。

三原豆腐店

ーコースメニューのみを提供されてると聞きましたが。

三原:現在は3,600バーツのコースのみですが、来月から4,500バーツまで上げる見込みです。これはガガンさんの意向です。コースのみじゃなくて、僕らはアラカルトもやりたかったのですが、一度こういう経験というか、ガガンさんのお力をお借りしてできることはいい意味に考えてます。

ーメニューの特徴はどのようなものでしょうか。

三原:料理は基本が豆腐ですが、魚料理、特にアカムツがメインで、豆乳をエスプーマでムース状にしたものと味噌を合わせたりといったメニューがあります。
食材はほとんどすべて九州の福岡、佐賀から空輸しています。特に豆腐は日持ちしないので、週に3回送ってもらってます。タイで調達しているものはメインとして使わない野菜の一部などですね。ガガンさんも当初タイで豆腐を作ろうと言ってましたが、お店のほうが落ち着いたらと考えています。

三原豆腐店

ー人材に関して困ったことなどありますか。

三原:人材に関しては、日本からシェフを3人連れてきています。これに加えて厨房スタッフあと4人現地でタイ人を雇いました。サービススタッフは7人いますが、 全部現地で雇ってます。現地での採用はすべてガガンさんにお願いするかたちでした。僕自身は採用には一切タッチしていません。オープン当初は特にオペレーションの部分でうまくまわっていなかったこともあって、クレームも頂きました。料理の提供速度が遅いとか。
オープンから時間が経ち落ち着いてきたところなので、お客さまへの接客、特にオペレーション面、サービス面で足りてないところを改善していきたいですね。ぼくたちが大切にしているのは、ファインダイニングというよりは、一人一人の方になるべくアットホームな感じで接していきたいので。

ー現状に関して感じてることは

三原:それまでのカウンターだけの接客のときはカウンター越しにシェフと話せるなどいい雰囲気でまわっていたものが、2階席をオープンしてからはいままでの空気感を保つのに苦労してます。
日本では、立ち上げの頃からずっとマニュアル的なものはなくて、目の前のお客さんをハッピーにするというコンセプトでやってきました。

三原豆腐店

ー今後の展望についてお聞かせください。

三原:いま、日本の豆腐業界は多くが潰れていってて、大手だけが残っている方向にいってしまってるので、こういう機会をうまく繋げていきたいと思ってます。同じお店を次々と何店舗も展開していくつもりはなく、お豆腐で新しいことをしながらも伝統は守っていこう、新しいことをしながら今までの続いてきた価値を繋げていけたらと考えてます。ガガンさんが2020年に福岡に拠点を移す予定ですが、僕は取り残されちゃうんでしょうかね?(笑) その時のことはその時考えますが、やはり居酒屋ですかね。

(聞き手/まえだひろゆき)

三原豆腐店三原廣樹(みはら ひろき)氏プロフィール

三原豆腐店OWNER
1978年生まれ。佐賀工業高校出身。元Jリーガー。1997年より名古屋グランパスエイトに加入。サガン鳥栖、アビスパ福岡を経て、2007年引退。その後、実家である 佐賀県鹿嶋市の豆腐店「三原食品」を手伝い、飲食部門である「三原豆腐店」を担当。2012年に福岡県福岡市の西中洲に居酒屋「三原豆腐店」をオープン。2018年3月にタイ、バンコクにて「Asia’s 50 Best Restaurants」に3年連続で首位に輝いたバンコク版ミシュラン二つ星「Gaggan」のオーナーシェフ、ガガン・アナンド氏をパートナーに「Mihara Tofuten Bangkok」をパートナーに初の海外進出を果たす。

(取材=まえだ ひろゆき)

店舗データ

店名 Mihara Tofuten Bangkok
住所 159/3 South Sathorn, Maha Mek, Sathon, Bangkok 10110
電話 083-655-4245
営業時間 18:00〜23:00
定休日 日曜日
客単価 5,000バーツ
オープン日 2018年3月29日
関連リンク Mihara Tofuten Bangkok FBページ
関連リンク 三原豆腐店 FBページ
関連リンク 三原豆腐店ウェブサイト

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