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インタビュー

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Ichitanグループ(タイ証券市場・上場)創業社長 タン・パーサコンティー(Tan Passakornnatee)氏


タン・パーサコンティー(Tan Passakornnatee)氏:54歳
Ichitanグループ(タイ証券市場・上場)創業社長。飲料ビジネスを立ち上げた後、短期間で数百億円を売り上げる大手企業に成長させた、タイを代表するアントレプレナー。
タン氏は、タイ生まれのペナン島(マレーシア)育ち。
中学卒業後、バンコクで大手企業系販売会社に就職し、若くしてマネージャーに昇進した後、独立。
新聞・雑貨店を皮切りに、レストランや不動産事業にも手を拡げたが、不動産事業が不況の影響を受け、会社は倒産寸前まで追い込まれる。
その後、結婚式用写真スタジオビジネスの多店舗で成功して復活。
2010年に飲料(緑茶)ビジネスを立ち上げ、参入して3年でシェアNo.1企業に成長させている。
自らが出演するTVコマーシャルなどの影響もあり、facebook上でタイでは最多となる400万の「いいね!」を集めるなど、タイでは誰もが知る立志伝中の人物である。


—タンさんの生い立ちについて教えてください。

私の一族のルーツは、中国の潮州(広東省)にあります。 父母の代でタイに移住し、その後、母と私、兄弟の一部がペナン島(マレーシア)に分かれ住むことになりました。
私は6人兄弟の末っ子で、今は中国に2名、ペナン島(マレーシア)に2名、タイに2名に住んでいます。

—タンさんが起業された経緯とビジネスで成功された秘訣について教えてください。

小さい頃からあまり勉強は好きではなかったのですが、成功したいと強く思っていました。
仕事が生き甲斐だとほんの子供の頃から感じていたので、真面目に働いて貧しさから脱出しようと思いました。
11歳の時からアルバイトは何でもやりました。
豚や鶏に餌をやったり、飲食店で皿を洗ったり、ラーメンを茹でたり。
麺を茹でる時間を計るのに数えていましたが、「タイマーがあれば良いのでは」と思ってオーナーに相談するなど、当時から工夫や改善することを心がけていました。
17歳からタイの大きな企業グループであるサハパタナグループの一社で配達スタッフとして働き始め、5年間一生懸命働いた結果、最年少でスーパーバイザーになれました。
700バーツからスタートした月給が20,000バーツまで上がって、その時は定年まで働こうと思っていました。
他社からのヘッドハントの話も多々ありましたが、転職しようとは思いませんでした。
ただ、「現状に甘んじていてはいけない」と、ある時一念発起して起業しました。
成功するのに大切なのは、お金があることや、事業を始めるタイミングではないと思います。
一つのことに集中すること、自分がやっていることを愛すること、諦めずにやり続けることの3つだと私は考えます。
私も、何の仕事でも命がけで成功することを目指しました。
ダメだったら、“腹切り”するつもりで。
成功するには100%仕事に没頭することしかないと思います。

—タンさんのビジネスセンスは、生まれつきのものでしょうか?それとも後天的に身につけられたものでしょうか?

兄弟姉妹6人のうち3人がビジネスをやっています。
父親は経理関係の仕事をやっており、母親は専業主婦と、特に商売をやっていた訳ではないです。
ビジネスセンスは、環境から学んだと言えます。

タン・パーサコンティー氏とインタビュースタッフ

—子供の頃、貧しくて、つらい思いをたくさんされたようですが、ビジネスを成功させるのに、こうした苦労は必要だとお考えですか?ご自分のお子さん達には苦労はさせたくないとお思いでしょうか?

若い時の苦労は有難いことだと思います。
お陰でより強い人間になれたような気がします。
人生は辛くても自分で歩む道を選べるのだから、あきらめずにがんばることが肝要でしょう。
なので、子供たちにも苦労させたいと思っています。
子供たちには、「お父さんが稼いだお金は、あなたたちのお金ではない」と言っています。
例えば飛行機に乗る時には、子供たちを必ずエコノミー席に乗せ、特別扱いはしませんでした。
子供たちには十分な教育の機会は与えましたので、それ以外は必要ないと思い、ある時一人ずつに一定額を与えて、終わりにしました。
ひとりの娘は、イタリアンレストランを開いて失敗しました。
失敗は良い勉強になったようです。
お金の大切もわかり、全く浪費をしなくなりました。
今はバンコクで「Zaab Eli」というイサーン(タイの東北部)料理店をやっています。
いくらお金があっても、お金の稼ぎ方、ビジネスのやり方がわからないと意味がないでしょう。
お金がなくたって、稼ぎ方とビジネスのやり方がわかっていれば、成功し、金持ちになれます。
失敗や貧乏、人生のあらゆることは何でも良い経験で、プラスに変えることが出来ます。

—マーケティング・広報戦略について
タンさんは、タイでは知らない人がいない有名人ですが、なぜご自分で広告塔になっておられるのでしょうか?
日本の経営者は、ほとんどが皆、有名になるデメリットが大きいと感じ、マスコミには出たがらないですが。
元々目立つ事はお好きなのでしょうか?

本当は、CMやテレビに出ることは好きではないのですが、仕事だからしょうがないと割り切っています。
基本、「笑ってもらって、愛される」というスタンスでテレビやCMには出ています。
Mr.タン=イチタン・お茶 というイメージを造り上げ、そして愛されて製品を買ってもらう。
お金はあまりかけられないけど、事業には宣伝は必要ですから。
私自身が出れば、ギャラが要らないので、有名人やタレントを使うのに比べて安くつきます。
あと、自分のことなので、こちら側で全てコントロール出来ます。
有名人やタレントを使うと、スキャンダル等の不祥事を起こしてブランドを傷つけられるリスクがありますし。
私は、人々のモデルとなれるよう、行動で示そうとしているからスキャンダルとは無縁なので。
あと、テレビに出た場合の出演料は全部寄付しています。
このことも宣伝になるので一石二鳥ですね。

※余談だが、Facebook上で、イチタン社は200万、タン氏には何と400万人のファンがいる。先日、タイ北部のチェンマイに行った際にタン氏が行なった投稿は、瞬時に30万人が見て、うち4万人が「いいね!」を押していた。

—ドリンクを買ってくれた人に抽選で金の延べ棒をプレゼントする試みや、北海道を全面に押し出したコマーシャルなどは非常に面白いですが、これらは誰が考えているのでしょうか?

こういったアイデアは自分だけでなく、チームメンバーとともに出しています。
イチタンは売上げで70億バーツになっていますが、本社社員は200名しかいません。
少数精鋭でやっています。
設立以来売上げは12⇒38⇒70(億バーツ)と順調に伸びている。
社員も株主で、私は会社の中ではボスというよりもリーダーという存在です。

—今後について(会社と個人)お聞かせください。

個人としては、60歳までは仕事をやりたいと思っています。
その後はリタイアし、以前から会社経営の傍ら行なっている社会奉仕に注力したいと思っています。
現在でも、貧しい学生のための奨学金制度を作ったりしていますが、ビジネスよりも慈善事業の方がうまく運営させて行くことが難しいと感じています。
会社としては、当面、飲料事業に集中し、レストラン事業はやらないつもりです。
飲料事業には、総額70億バーツ(約220億円)投資します。
1番目の工場は完成済みで、2番目は来年4月に出来ます(バンコク北部のロジャーナ工業団地)。
工場には、タイ初の全自動化ラインも設置中で、これには渋谷工業(金沢)という日本企業の技術を導入しています。
2番目の工場が完成すると、生産能力は10億本/年になりますので、今後他のアセアン諸国(カンボジア、ラオスなど)への輸出も計画しています。
現在は、レストランビジネス(サービス業)を大きくする気はなく、飲料事業(製造業)に注力しています。
ベーカリービジネスは今後有望なので、興味を持っていますが。

—日本の食業態は、タイなどアジアで展開するにあたり、どのような強みや可能性を持っているとお考えですか?

日本料理や飲料は世界中で人気があり、今後も増々有望でしょう。
ヘルシーだし、高級感(プレミアム)があるなど、良い点は沢山あります。
私も考え方等、日本の良いところはどんどんコピーしてきました。
ただし、今は変化が早い時代です。
流行ものの賞味期間もどんどん短くなっています。
日本企業は、何事もステップバイステップで臨機応変な対応が出来ないですが、韓国企業は柔軟で、スピードが早い。
今後、食分野においても韓国は日本のライバルとなるでしょう。

—現在の日本企業との関わり方は?

タイ北部のチェンマイで日本企業と合弁でホテル事業を立ち上げようとしています。
タイ南東部のパタヤとシーラチャでも計画中です。
デザイナーは日本人で、宿泊客も日本人をターゲットにしています。

—日本の読者へのメッセージをお願いします。

日本は非常に良い国だと思います。
私は、テレビや漫画を通じて日本の文化に触れ、日本が大好きになりました。
その中でもウルトラマン、ドラえもん、忍者や侍が特に好きですね。
自分のことを、日本人とメンタリティが似ているとも感じます。
日本の皆さんには、現状に満足せずそして変化を恐れず、他の国にどんどん出て行くような進取の気概も持って欲しいと思っています。

※このインタビューは、Matching & Relationship Consulting Co.,Ltd.(通称:マークタイランド)(http://marcthai.com/)の岩原社長にご協力いただいた。マークタイランドは、飲食業、サービス業を専門に日本企業のタイでの事業展開を支援するコンサルティング会社である。

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