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天丼てんやがバンコク進出! 天丼・てんぷらを世界に発信 ジャカルタへの出店も計画

海外展開を図るテンコーポレーションの用松靖弘社長
商業施設内にオープンした「天丼てんや」タイ1号店
タイ1号店の店内は木を使っており、落ち着いた雰囲気
店内にはモダンな日本のイメージを取り込んでいる

日本の天丼・てんぷらを世界に――。この言葉を合言葉に、海外展開に踏み出しているのが、「天丼てんや」チェーンを展開するテンコーポレーション(本社:東京都台東区)だ。外食大手ロイヤルホールディングス傘下の同社は、今年10月、タイのバンコク郊外バンナ地区に同国1号店を、12月5日には同じくバンコクに2号店をオープンした。さらに、今後も各地への出店を加速し、グローバル市場で事業網を広げる意向だ。

世界の成長センターを攻める

テンコーポレーションの用松靖弘(もちまつ・やすひろ)社長は、「タイを選んだのは、世界の成長センターである東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも市場規模が大きく、中間層が拡大していることが大きい」と強調する。
バンコクとその周辺の人口規模は800万から1000万人に上るほか、商業施設の開発が進んでいる。その上、経済成長による個人所得の伸びから中間層が拡大し、グルメやショッピングを楽しむ新しいライフスタイルが広がっており、ASEANの中でも一歩抜きんでた成長市場となっている。
タイの店舗では、天丼の価格は、日本の8割強の129バーツ(約400円)に設定しているが、こうした価格の食事を気軽に楽しめる層が増えているのだ。
さらに、てんやの追い風となりそうなのが、タイの日本食ブームだ。同国には、多数の日本食店が進出し、既に日本食が浸透している。
そもそも日本のてんや店舗には、以前から外国人客が多かった。海外でも知られる天丼やてんぷらを手ごろな価格で出すてんやは、観光客をはじめ外国人がよく足を運ぶスポットとなっているのだ。日本ではこのところタイからの観光客も多く、てんやの商品を含む日本の味を既に知っているタイ人が増えていることも、好材料になりそうだという。

地場流通大手とタッグ

タイ事業は同国の流通大手セントラル・グループと協力し、フランチャイズ(FC)形式で展開する。
セントラル・グループはこれまでに、多数の有名外食チェーンとFC事業を行ってきた実績を持つため、同グループの事業ノウハウを生かしながら事業展開することが期待できるようだ。
出店先はタイの中間層の利用が多い商業施設。タイ1号店、2号店ともに、商業施設内に開業し、週末のファミリーでの利用や、平日のランチや仕事帰りに利用されることを見込んでいる。
特に2号店は駅に隣接する商業施設「セントラル・ラップラオ」内に開業し、周辺は人の往来が多いなど、集客が望めるという。
2014年3月には、バンコクに3号店をオープンさせる計画だ。その後も出店数を増やし、同年末までにタイの店舗数を計10店舗にする予定。さらに向こう5年でバンコクを中心にタイの店舗数を計30店舗に引き上げ、ドミナントの形成を図る。

タイの事情とのすり合わせも:食材調達・店の使われ方

タイの店舗では日本でもおなじみのメニューを出すほか、同国で人気の高い鶏肉を使った「ねぎマヨ鶏天丼」(109バーツ)、「親子鶏天丼」(129バーツ)も提供する。
また、てんやが強みとするオートフライヤーをタイの店舗でも導入している。てんぷらをからりとおいしく揚げるには熟練の技が必要だが、オートフライヤーは食材ごとに揚げる温度と時間を管理できるという。タイ人スタッフの研修にも力を入れており、日本クオリティーの商品を提供する。
こうした中、タイの店舗はオープンして以来、客足が好調という。ご飯の上に具をのせる天丼のような食べ方はタイでは一般的ではないものの、天丼が好評を博している。
一方、タイはやはり日本とは異なり、タイの事情に合せた事業展開も必要だ。
まず店の使われ方が違うのだ。日本のてんやは「さっと食べて、さっと帰る」という短時間での利用が主流で、回転率が高い。これに対し、タイでは、商業施設内の飲食店は家族や友人と足を運び、時間をかけて楽しむスタイルが中心ということもあり、一定の時間をかけて食事をする人が多いという。
また、食材確保では日本のようにはいかず、苦労もある。タイにはそもそもない食材が少なくなく、マイタケなどを日本から輸入することにした。日本ではセットメニューで人気のそばも、タイでは入手できず、麺とツユを日本から調達している。
用松社長は「日本のてんやは、かつて高級品だったてんぷらを手ごろな価格で、かつおいしく提供するというDNAを持ち、事業を広げてきた。タイでもこのDNAを生かすとともに、現地の事情とすり合わせていきたい」と強調する。

国内外で200店舗超に

テンコーポレーションはさらに、海外展開を進める意向。2014年中ごろにはインドネシアの首都ジャカルタに進出する計画だ。
インドネシアは経済成長著しい上、約2億4000万人に上る巨大な人口を誇る。ジャカルタ首都圏も大きな人口を抱え、最近では外食やショッピングを楽しむ中間層も増加しており、てんやが受け入れられる土壌があるという。
これまで、日本国内で直営店を中心として、一都三県を中心に店舗展開してきたてんやは、2013年には関西進出を果たすなど、地域ブランドから全国ブランドへの転換を図っている。
こうした日本での店舗網の拡充に加え、海外でも店舗数を増やしていき、2015年には国内180店舗(直営150店舗、FC30店舗)、海外25店舗ほどの展開を見込む。そして、今度は、グローバルブランドへの成長を目指すのだ。
日本生まれの天丼・てんぷらを、世界の人々が気軽に食べられるようにしたいとするテンコーポレーション。グローバル市場で同社のDNAがどう受け入れられるのか。そして、世界の人々はてんやの天丼・てんぷらを味わい、どんな時間を過ごすのだろうか。てんやの展開が注目される。

(取材=巣内 尚子)

店舗データ

店名 TENYA Central Bangna
住所 Central city Bang Na 3F, 1093KM. 3, Bang Na, Trad Rd,Bang Na, Bang Na, Bangkok 10260
電話 (66)2399-2603
営業時間 平日 10時30分~21時(金曜は22時まで)
土曜・日曜・祝日 10時~22時
定休日 なし
坪数客数 43坪 53席
客単価 191.4バーツ(約592円)
運営会社 CENTRAL RESTAURANTS GROUP CO.,LTD
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